チアダンスを子どもの習い事に考えたら|チアリーディングやほかのダンスとの違いと選び方
「チアダンスを習わせてみたい」「ほかのキッズダンスとどう違うの?」。映画やドラマ、スポーツの応援で見かけて、子どもの習い事の候補にチアダンスを考える保護者の方は少なくありません。一方で、チアリーディングとの違いや、ヒップホップなどのダンスとの違いは、意外と分かりにくいものです。この記事では、チアダンスとはどんなものか、成り立ち、チアリーディングとの違い、ほかのキッズダンスとの違い、習い事として選ぶときに考えたいことを、保護者の方向けに整理しました。
チアダンスとは|チアの「踊り」の部分に特化したダンス
チアダンスは、チアリーディングから「踊り」の部分に特化したダンスです。「チア(cheer)」は「応援」という意味の英語で、もともとはスポーツの試合で選手や観客を元気づける応援から生まれました。両手にポンポンを持って踊る姿がよく知られていて、アメリカでは「Pom Dance(ポンダンス)」とも呼ばれます。
チアダンスの大きな特徴は、笑顔で、元気に、全員で動きをそろえて踊ることです。応援がルーツなので、見ている人を明るい気持ちにさせることが大切にされています。
チアの成り立ち|大学スポーツの応援から始まった
チア(チアリーディング)の始まりは、アメリカの大学スポーツの応援です。英語版Wikipediaの「Cheerleading」の項目では、ミネソタ大学のジョニー・キャンベルが観客の応援をリードしたことを組織的な応援の始まりとし、1898年11月2日を「組織的なチアリーディングの公式な誕生日」としています。
はじめは男子学生が中心でした。同じ項目によると、ミネソタ大学で女性がチアに加わることが認められたのは1923年で、1940年代には、第二次世界大戦で男子学生が徴兵されたことをきっかけに、女性が中心になっていったとされています。
チアダンスに欠かせないポンポンも、歴史のある道具です。同じ項目では、ローレンス・ハーキマーがポンポンの特許をとったこと、1965年にフレッド・ガストフがビニール製のポンポンを考案したことが紹介されています。日本語版Wikipediaでは、ポンポンはスズランテープを束にしたもので、棒の形の取っ手や、手首や指にはめるタイプがあると説明されています。
日本では、アメリカのカレッジスポーツやアメリカンフットボールの応援をまねる形で入ってきたとされています。今では、学校のクラブ活動やサークル、プロ野球やJリーグのチームの専属チームなど、さまざまな場で踊られています。
チアダンスとチアリーディングの違い
「チアダンス」と「チアリーディング」は名前が似ていますが、内容がはっきり違います。日本語版Wikipediaの説明をもとに整理すると、次のようになります。
- チアリーディング:踊りの要素に加えて、人を持ち上げたり組み体操のような形をつくったりする「スタンツ」や、バック転などのアクロバットの「タンブリング」を交えた競技です。演技は2分15秒〜2分30秒程度で、16〜24人(大会によって違う)で行う採点競技とされています
- チアダンス(パフォーマンスチア):チアリーディングの踊りの部分に特化したもので、スタンツやタンブリングのような組み体操の技は含みません。競技会では、ポンポンダンス、ラインダンス、ジャズダンス、ヒップホップの4種類を取り入れ、表現力や完成度を審査するとされています
小さな子どもの習い事として「チア」を考えるときは、教室が「チアダンス」なのか「チアリーディング」なのかを確かめておくとよいでしょう。人を持ち上げる技やアクロバットがあるかどうかで、練習の内容も、気をつけたい安全面も変わってきます。
チアダンスの中にもいくつかの踊り方がある
チアダンスというとポンポンを持って踊るイメージが強いですが、日本語版Wikipediaでは、パフォーマンスチアの競技会で「ポンポンダンス」「ラインダンス」「ジャズダンス」「ヒップホップ」の4種類が取り入れられているとされています。どの種類をどんな形で踊るか、演技の時間や人数などの細かい決まりは、大会や団体の規定によって違います。
ここから分かるのは、チアダンスの教室でも、ポンポンを持つ踊りだけでなく、ジャズやヒップホップの要素にふれることがある、ということです。反対に、ヒップホップなどのダンス教室で、ポンポンを持って踊ることはあまり多くありません。教室でどんな踊りを練習しているかは、体験のときに見てみるとよく分かります。
チアダンスでよく練習すること
チアダンスの踊りでは、「全員で同じ形をそろえて見せる」ことが大切にされます。そのため、踊りの中には次のような要素がよく出てきます。実際に何をどれくらい練習するかは、教室や年齢によって違います。
- 腕の形と止め:腕を伸ばす角度や位置をそろえ、ピタッと止める
- キックやジャンプ:脚を高く上げるキックや、空中で形をつくるジャンプ
- ターン:片脚で回るターン
- 柔軟:キックやジャンプのために、脚や股関節をやわらかくするストレッチ
- 表情:笑顔で、客席に向かって明るく見せる
- 隊形移動:踊りながら立ち位置を移動し、全体の形を変える
動きをぴったりそろえることや、高いキックやジャンプが「見せ場」になるため、柔軟性や、くり返し練習する根気が求められる場面もあります。
チアダンスとほかのキッズダンスの違い
ヒップホップやジャズなど、ほかのキッズダンスとチアダンスを比べると、違いは主に次のような点に表れます。
見せ方の違い|「そろえる」と「個性」
チアダンスは、全員の腕の角度やタイミングをそろえ、チームとしての一体感を見せることを特に大切にします。ヒップホップなどのダンスでも、みんなでそろえて踊る作品はありますが、リズムの取り方や体の使い方に、踊る人それぞれの味が出ることも魅力のひとつとされます。
動きの質の違い|「止め」と「ノリ」
チアダンスは、腕をピタッと止める、脚をまっすぐ高く上げるといった、メリハリのはっきりした動きが目立ちます。ヒップホップは、ひざでリズムをとるアップやダウンのように、音に体を乗せ続ける動きが土台になります。
表情の違い|いつも笑顔、とは限らない
チアダンスでは、応援のルーツから、笑顔で踊ることが基本とされています。ほかのダンスでは、曲に合わせて、かっこいい表情、真剣な表情など、表情も表現の一部として変えていくことがあります。
道具の違い|ポンポン
ポンポンを使うのはチアダンスならではです。ポンポンを持つと腕の動きが大きく見えるので、小さな子でも動きが目立ちやすいという面があります。
発表の場の違い|応援・大会・発表会
チアダンスは、スポーツの試合の応援、イベント、大会など、発表の場がいろいろあります。ほかのダンスでも、発表会やイベント、コンテストなどで踊る機会があります。どんな場で踊ることが多いかは教室ごとに違うので、体験のときに聞いてみるとよいでしょう。
日本で子どものチアダンスが知られるようになったきっかけ
子どものチアダンスが広く知られるようになったきっかけのひとつに、映画『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』があります。2017年に公開されたこの映画は、福井県立福井商業高等学校のチアリーダー部「JETS」が、2009年3月にアメリカの全米チアダンス選手権大会で優勝した実話がもとになっています。2018年には、土屋太鳳さん主演でTBSでドラマ化もされました。
保育や子育ての情報サイトでも、こうした映画やドラマの影響で、小学生を中心にチアダンスへの関心が高まっていると紹介されています。
チアダンスで経験できること
チアダンスの教室や関係する団体は、チアダンスを通して経験できることとして、次のようなことを挙げています。どれも教室の方針や子どもによって感じ方は違いますが、選ぶときの参考になります。
- チームで一つのものをつくる経験:全員で動きをそろえるために、みんなで練習を重ねる
- 人前で明るく表現する経験:笑顔で客席に向かって踊る
- 応援する気持ち:一般社団法人チアスピリットは、チアダンスで育まれる「チアスピリット」を「笑顔」「元気」「応援する気持ち」と定義していると紹介されています
- 体の柔らかさ・キックやジャンプの力:柔軟やキック、ジャンプの練習をくり返す
こうした経験の多くは、チアダンスに限らず、ほかのダンスで発表会に向けてみんなで練習するときにも共通するものです。
習い事として選ぶ前に考えておきたいこと
チアダンスにするか、ほかのダンスにするか迷ったときは、ジャンル名よりも、次のような点を確かめてみるのがおすすめです。
子どもが「何に惹かれているのか」
ポンポンを持って踊るのが好きなのか、制服のような衣装に憧れているのか、音楽に合わせて体を動かすこと自体が好きなのか。子どもが惹かれているところによって、合う教室は変わります。「チアの映像を見て真似していたけれど、実はどんなダンスでも楽しかった」ということもあります。
チアダンスかチアリーディングか
前の章で書いたとおり、スタンツやタンブリングがあるのはチアリーディングです。人を持ち上げたり、バック転をしたりする練習があるかどうかは、教室に確かめておきましょう。
大会を目指すのか、楽しく踊るのか
チアダンスの教室には、大会出場を目指すチームもあれば、楽しく踊ることを中心にしたクラスもあります。大会を目指すチームでは、練習の回数が増えたり、遠征があったりすることもあります。どちらの方針の教室なのかは、事前に聞いておくと安心です。
ユニフォームやポンポンなどの準備
チアダンスでは、ユニフォームやポンポンをそろえることがあります。何をいつ用意するのか、発表や大会のときに別にかかるものがあるのかは、教室によって違います。月会費だけでなく、そうしたものも含めて確かめておきましょう。
送り迎えと時間帯
どんなダンスでも、続けるうえでは通いやすさが大切です。家や学校からの距離、レッスンの曜日と時間、保護者の送り迎えができるかを考えておきましょう。
年齢によって違う、チアダンスとの付き合い方
3才〜6才ごろ
この時期は、ダンスのジャンルの違いを子ども自身が意識することはあまりありません。ポンポンを振るのが楽しい、音楽に合わせて跳ねるのが楽しい、という気持ちが中心です。チアダンスでもほかのダンスでも、楽しく体を動かせる環境かどうかを見るのが大切です。
小学校低学年
友達と一緒にそろえて踊る楽しさが分かってくる時期です。キックやジャンプなど、チアらしい動きに挑戦するのが楽しくなる子もいます。
小学校高学年
好きなジャンルがはっきりしてくる子も多い時期です。チアダンスを続けたい、ヒップホップをやってみたい、K-POPの振り付けを踊りたいなど、子ども自身の希望を聞きながら選ぶとよいでしょう。
体験レッスンで見ておきたいこと
チアダンスでもほかのダンスでも、体験レッスンでは次のような点を見ておくと、子どもに合うかどうか判断しやすくなります。
- 先生が、初めての子にどう声をかけているか
- 準備運動やストレッチの時間がとられているか
- 子どもの年齢に合った動きになっているか(無理な柔軟やジャンプをさせていないか)
- ほかの子どもたちが楽しそうに踊っているか
- レッスンのあと、子どもが「また行きたい」と言うか
1回の体験では緊張して本来の様子が分からないこともあります。何回か体験できる教室なら、複数回参加してから決めるのもひとつの方法です。
よくある質問
Q. チアダンスとチアリーディングは何が違いますか?
A. チアリーディングは、踊りに加えて、人を持ち上げる「スタンツ」やバック転などの「タンブリング」を交えた競技です。チアダンスは、その踊りの部分に特化したもので、組み体操のような技は含みません。
Q. チアダンスは女の子だけのものですか?
A. チアは、もともとアメリカの大学で男子学生がリードした応援から始まりました。女性が加わったのは1923年のミネソタ大学からとされています。今は女の子が多いイメージがありますが、性別で決まるものではありません。教室によって、どんな子が通っているかは違います。
Q. チアダンスの経験は、ほかのダンスにも生きますか?
A. リズムに合わせて体を動かすこと、振り付けを覚えること、人前で踊ることは、ジャンルを問わず共通する経験です。チアダンスの競技会にはジャズやヒップホップの要素も取り入れられているとされているので、ほかのジャンルにふれるきっかけになることもあります。
Q. 体が硬くてもチアダンスはできますか?
A. 柔軟は練習を続ける中で少しずつ身につけていくものです。初めから体がやわらかい子ばかりではありません。無理に伸ばすとけがのもとになるので、準備運動やストレッチをていねいに行う教室を選ぶと安心です。
Q. チアダンスとほかのダンス、どちらを先に習うのがよいですか?
A. どちらが先、という決まりはありません。子どもが興味をもっているほうを体験してみて、楽しく続けられそうかどうかで選ぶのがよいでしょう。小さいうちは、ジャンルよりも、音楽に合わせて体を動かすことを楽しめる環境かどうかが大切です。
Q. ポンポンは自分で用意しますか?
A. 教室によって違います。最初は貸し出しがある教室、入会時にそろえる教室などがあるので、体験のときに確かめておきましょう。
参考にした資料
- Wikipedia日本語版「チアリーダー」(「チアダンス」から転送される項目。パフォーマンスチア、チアリーディングとの違い、演技時間と人数、競技会の4種類、ポンポン、日本での広がり)
- Wikipedia英語版「Cheerleading」(1898年11月2日のミネソタ大学、1923年に女性が参加、1940年代、ポンポンの特許、1965年のビニール製ポンポン)
- Wikipedia日本語版「チア☆ダン」(2017年公開、福井県立福井商業高等学校「JETS」、2009年3月の全米チアダンス選手権大会での優勝、2018年のドラマ化)
- コエテコ「スポーツが子どもにもたらす教育的効果は?人気の習い事を紹介」(一般社団法人チアスピリットによる「チアスピリット」の定義の紹介)
- ヨムーノ「習いたい女の子続出!?あの『チアダン』ブームでチアダンスがじわじわ人気」(映画・ドラマの影響で関心が高まっているという紹介)
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