小学生に流行りのダンスとは?広まり方と家での練習、保護者が知っておきたいこと
「学校で流行っているダンスを家でもずっと踊っている」「友だちが踊っている動画のダンスを覚えたいと言い出した」。小学生の間では、動画やテレビをきっかけに、あるダンスが一気に広まることがあります。流行りのダンスは、子どもが自分から「踊りたい」と思えるきっかけになる一方で、動画アプリの使い方や、ネットへの投稿など、保護者として気になることも出てきます。この記事では、小学生の間で流行ったダンスの実際の例を、調査や公開されている情報で確かめながら紹介し、流行りのダンスがどうやって広まるのか、家で練習するときのコツ、保護者が知っておきたい決まりや注意点を整理しました。
子どもの「流行りのダンス」は、どこから来るのか
このあと紹介する例を見ると、子どもの間で流行ったダンスには、もともと何かの作品や番組の一部として生まれたものが目立ちます。ドラマのエンディング、アニメのオープニング映像、子ども向けの応援ソング、テレビ番組のコーナーなどです。そこで踊られていたダンスを、見た人が真似して踊り、その様子を撮った動画がSNSで広がる。こうした流れで、学校の友だち同士の間にも伝わっていきます。
大人にとっては「いつの間にか子どもが踊っていた」と感じることが多いかもしれません。子どもは学校で友だちが踊っているのを見て覚えることもあれば、家族のスマートフォンやテレビで見た動画から覚えることもあります。どこで知ったのかを聞いてみると、子どもの見ているものや、友だちとの話題が分かるきっかけにもなります。
2025年、男子小学生の流行語1位は「ナルトダンス」
小学館が発表した「2025年小学生年間トレンド」では、男子小学生(『コロコロコミック』の読者)の流行語の1位に「ナルトダンス」が選ばれました。発表した記事によると、中国で流行した「科目三」というダンスを、マンガ・アニメ『NARUTO-ナルト-』のキャラクターのコスプレで踊った動画がSNSで広がり、日本でもブームになったものです。記事では、動画プラットフォームでのダンスチャレンジをきっかけに、実際に体を動かす「体験型」の流行がうかがえる、と説明されています。
この調査は、『ちゃお』『ぷっちぐみ』『コロコロコミック』の読者とその家族を対象に、雑誌のハガキアンケートやインターネットで行われたものです(期間は2025年4月15日〜11月13日、テーマや媒体によって異なります)。すべての小学生を代表する結果ではありませんが、少なくともこの調査に答えた男子小学生の間では、動画をきっかけにしたダンスが流行語の1位になっていました。
これまでに子どもの間で広がったダンスの例
「流行りのダンス」は今に始まったものではありません。ここ10年ほどの間に広く知られた例を、公開されている情報で確かめられた範囲で振り返ってみます。
ようかい体操第一(2014年)
アニメ『妖怪ウォッチ』の初代エンディングテーマで、エンディング映像ではアニメのキャラクターたちが踊っています。振り付けはラッキィ池田が担当しています。CDとDVDのセットには振り付けの映像も収められていました。
恋ダンス(2016年)
星野源の「恋」は、TBSのドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の主題歌です。ドラマのエンディングで出演者が踊ったダンス、通称「恋ダンス」が話題になり、SNSで真似して踊る「踊ってみた」動画が広がりました。振り付けは振付師のMIKIKOが担当しています。
パプリカ(2018年)
NHKの「2020応援ソング」として、米津玄師が作詞・作曲・プロデュースした曲です。オーディションで選ばれた5人の小学生によるユニット「Foorin」が歌い、振り付けは辻本知彦と菅原小春が担当しました。
BBBBダンス(2024年)
Creepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」は、アニメ『マッシュル-MASHLE-』第2期のオープニングテーマです。オープニング映像に合わせたダンスが通称「BBBBダンス」としてTikTokなどで流行し、出演している声優の多くもダンス動画を投稿しました。考案したのは、オープニング映像のアニメーション演出を担当したアニメーターとされています。
ナルトダンス(2025年)
上で紹介したとおり、2025年の男子小学生の流行語1位になったダンスです。もとになったダンスは海外で流行したもので、それを人気キャラクターの姿で踊った動画がきっかけになりました。
例を並べてみると見えてくる、流行るダンスのきっかけ
上の例を並べてみると、流行ったダンスには「最初に踊った場所」がはっきりしていることが分かります。
- 作品の映像の一部だった:アニメのエンディング(ようかい体操第一)、ドラマのエンディング(恋ダンス)、アニメのオープニング(BBBBダンス)
- 振り付けを専門にする人がつくった:ラッキィ池田、MIKIKO、辻本知彦と菅原小春など、振り付けの担当がはっきりしている
- 見た人が真似して投稿した:恋ダンスやBBBBダンスのように、見た人が自分で踊った動画が広がるきっかけになっている
つまり、上の例の多くでは、子どもは振り付けを仕事にしている人がつくったダンスを、映像を見ながら真似していることになります。
「簡単そう」に見えて、実は難しいところ
流行りのダンスは、動画で見ると簡単そうに見えることがあります。けれど実際に踊ってみると、思ったようにいかないことも少なくありません。子どもがつまずきやすいのは、次のようなところです。
- 速さ:元の動画の速さで踊ると、手足の動きが追いつかない
- 細かい手の動き:指先や手首の向きなど、画面では小さく見える動きがそろわない
- 左右:画面に映った人と向かい合っているので、右と左が反対になって混乱する
- 止めるところ:ポーズでぴたっと止まれず、動きがぼやけて見える
- 表情:振り付けを思い出すのに必死で、下を向いてしまう
こうしたつまずきは、ダンスが下手だから起きるのではなく、慣れていないから起きるものです。ひとつずつ分けて練習すると、少しずつできるようになっていきます。
流行りのダンスを家で練習するときのコツ
まず全体を何回か見る
いきなり踊り始めるより、先に動画を何回か通して見て、「どこが盛り上がるか」「どこで止まるか」をつかんでおくと覚えやすくなります。
短く区切って覚える
全体を一度に覚えようとせず、「最初の8カウントだけ」「サビの決めポーズまで」のように区切って練習します。区切ったところができたら、次の部分とつなげていきます。
ゆっくりから始める
動画の再生速度を落とせる場合は、ゆっくりにして動きを確かめてから、元の速さに戻していきます。速さに慣れる前に、正しい順番を体で覚えるのが近道です。
左右が分からなくなったら、画面と同じ向きに立つ
画面の人と向かい合って踊ると、右と左が反対になります。分からなくなったときは、画面と同じ方向を向いて、後ろから真似するように踊ってみると分かりやすくなります。
できたところを見せてもらう
練習の途中で、家族に「見せて」と頼んでもらうと、子どもは見せるつもりで踊るようになります。全部できていなくても、「最後のポーズ、かっこよかったね」と具体的に声をかけると、もっと練習したい気持ちにつながります。
動画アプリには年齢の決まりがある
流行りのダンスは動画アプリから広がることがありますが、動画アプリには、利用できる年齢が決められているものがあります。たとえばTikTokの利用規約では、サービスを利用できるのは13歳以上の方と定められています(地域ごとの補足条項でさらに制限が加わる場合がある、とも書かれています)。
小学生がダンス動画を見たい、踊りを覚えたいというときは、保護者の端末で一緒に見る、見る時間や場所を決めるなど、家庭ごとのルールを決めておくと安心です。どのアプリを使う場合も、利用規約や年齢の決まりは、使う前に保護者が確かめておきましょう。
子どもが踊る動画を、ネットに載せる前に考えたいこと
流行りのダンスを覚えると、「踊ってみた動画を撮りたい」「みんなみたいに投稿したい」と言い出す子もいます。家族で撮影して楽しむのはすてきな思い出になりますが、インターネットに公開する前には、いくつか考えておきたいことがあります。
- 写り込み:顔、名前、制服や体操服、名札、家の外の景色、窓から見える建物などから、住んでいる場所や通っている学校が分かってしまうことがあります。
- 公開の範囲:誰でも見られる公開にするのか、家族や知り合いだけに見せるのかで、気をつける度合いが変わります。
- 一緒に踊った友だち:友だちが写っている動画は、その子と保護者の了解が必要です。
- 音楽:曲を使った動画をインターネットに公開することは、著作権法では「公衆送信」という利用にあたり、第23条で作者の権利とされています。使うサービスの決まりや、曲の権利者の案内を確かめておきましょう。
一度公開した動画は、あとから消しても、ほかの人に保存されたり広まったりすることがあります。「載せるかどうか」は、子どもと一緒に話し合って決めるのがよいと思います。
曲の歌詞や、もとの作品の中身も見ておく
流行りのダンスに使われる曲は、子ども向けにつくられたものばかりではありません。ドラマやアニメの主題歌、海外の曲など、大人向けの内容が含まれていることもあります。また、動画サイトには、もとの曲とは違う音声や映像に差し替えられた動画が混ざっていることもあります。
子どもが踊りたい曲は、大人も一度最後まで聴いてみて、どんな作品の曲なのかを知っておくと安心です。「どんなアニメ?」「誰が歌ってるの?」と聞いてみるのも、会話のきっかけになります。
学校の運動会でも、流行りの曲が使われることがある
流行りのダンスは、家や友だち同士だけでなく、学校の運動会にも登場します。運動会のダンスについて現役の小学校の先生に取材した記事では、子どもたちも保護者も知っていて楽しめる流行曲を選び、学年に応じてダンスの内容を決めていることが紹介されています。最新の曲に限らず、SNSで再び流行した昔のヒット曲が選ばれることもあるそうです。
元小学校教員が書いた別の記事でも、高学年ではK-POPなど流行のダンスが増えていると紹介されています。子どもが家で流行りのダンスを踊っているのは、学校での練習とつながっていることもあるのです。
流行りのダンスと、ダンス教室の基礎のつながり
流行りのダンスを踊っていると、「もっとうまく踊りたい」と思う子も出てきます。動画を真似するだけでは、なかなか同じように見えない理由のひとつは、体の使い方の基礎にあります。
- 体の一部だけを動かす力:首だけ、胸だけ、腰だけを動かす「アイソレーション」ができると、細かい動きがはっきり見えるようになります。
- リズムに乗る力:拍に合わせてひざを曲げ伸ばしできると、動きに弾みが出ます。
- 止まる力:ポーズでぴたっと止まれると、動きにメリハリが出ます。
セントダンススクールのレッスンでは、体操・ストレッチの段階から流行の音楽を流して楽しみながら体を動かし、ダンスの基礎となるアイソレーションを行ってから、先生の動きを真似して振り付けを覚えていきます。インストラクター紹介のページでは、misaki先生が「中学2年生の頃にK-POPが流行っていて、家でコピーして踊っているうちに、そのままダンスを始めました」と話しています。流行りのダンスを真似したいという気持ちは、ダンスを始める十分なきっかけになります。
流行が過ぎても、残るもの
流行りのダンスは、やがて次のダンスに移り変わっていきます。けれど、ひとつのダンスを覚えきった経験は、流行が過ぎても子どもの中に残ります。
- 動画を見て、自分で動きを覚えられた
- 友だちと一緒に練習して、そろって踊れた
- 家族に見せて、ほめてもらえた
こうした経験は、次に新しいダンスを覚えるときの自信になります。流行りのダンスは、「子どもが自分から体を動かしたくなる入り口」として、うまく付き合っていきたいものです。
よくある質問
Q. 流行りのダンスばかり踊っていて大丈夫ですか?
A. 子どもが自分から体を動かしているのは、よいことです。ただ、狭い場所で激しく動くとけがにつながることもあるので、家具から離れた広い場所で踊るようにしましょう。動画を見る時間が長くなりすぎないよう、家庭でルールを決めておくのもおすすめです。
Q. 動画を見ても、子どもがなかなか覚えられません。
A. 元の速さで全体を一度に覚えるのは、大人でも難しいことです。短く区切って、ゆっくりの速さから始めてみてください。左右が分からなくなっているときは、画面と同じ向きに立って真似すると分かりやすくなります。
Q. 小学生がTikTokを使ってもいいですか?
A. TikTokの利用規約では、利用できるのは13歳以上とされています。小学生が動画を見たいときは、保護者の端末で一緒に見るなど、家庭で使い方を決めておくと安心です。
Q. 流行りのダンスを習える教室はありますか?
A. 教室によって、扱う曲やジャンルはさまざまです。どんな曲でレッスンをしているか、どんな基礎練習をしているかは、体験レッスンや見学で確かめてみるのがいちばんです。
Q. 男の子でも流行りのダンスに興味を持ちますか?
A. 持ちます。2025年の小学館の調査では、男子小学生の流行語の1位が「ナルトダンス」でした。ダンスへの興味は、性別では決まりません。
Q. 子どもが踊る動画を家族で撮るのはいいですか?
A. 家族の思い出として撮るのは楽しいことです。インターネットに公開する場合は、写り込みや公開範囲、一緒に写っている友だちのことなどを考えてから決めましょう。
参考にした資料
- マイナビニュース(2025年11月26日)小学館「2025年小学生年間トレンド」の記事(ナルトダンス、調査期間・対象・方法)
- Web担当者Forum(2025年12月3日)「小学生のトレンドランキング2025」(調査の媒体・期間・集計数)
- リセマム(2025年11月27日)「小学生年間トレンド2025」
- Wikipedia日本語版「ようかい体操第一」「恋 (星野源の曲)」「Bling-Bang-Bang-Born」
- マイナビニュース(2018年8月15日)NHK「2020応援ソング」パプリカ・Foorinの発表記事
- TikTok 利用規約(日本語版)11. e. 年齢制限
- All About ニュース「運動会のダンス曲や振り付け、どうやって決めている?【現役教員に聞いた】」(2025年9月29日)
- HugKum「元小学校教員が教える『運動会』の裏事情」
- 著作権法 第23条
- セントダンススクール「インストラクター紹介」ページ(misaki先生のインタビュー)
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