子どものダンス曲の選び方|幼稚園・小学生・初心者が踊りやすい曲の見つけ方とよく知られた曲
「子どもと踊れる曲を探しているけれど、どれを選べばいいか分からない」「幼稚園の子でも踊りやすい曲はある?」「ダンスを始めたばかりの小学生に合う曲は?」。子ども向けのダンス曲を紹介するページはたくさんありますが、曲名の一覧だけでは、わが子に合うかどうかまでは分かりません。この記事では、曲名を並べる前に「子どもが踊りやすい曲とはどんな曲か」を、テンポ・長さ・繰り返し・歌詞といった見方で整理しました。そのうえで、年齢ごとの選び方、親子で踊りたいよく知られた曲の例、曲を使うときに気をつけたいことをまとめています。曲を選ぶ目が持てると、新しい曲が出てきたときにも自分で判断できるようになります。
子どものダンス曲は「人気」より「踊りやすさ」で選ぶ
子ども向けのダンス曲を探すと、まず目に入るのは「人気の曲」「話題の曲」です。もちろん、子どもが知っている曲や好きな曲は、踊る気持ちを引き出してくれます。ただ、人気の曲が必ずしも踊りやすいとは限りません。テンポが速すぎたり、曲が長かったり、リズムが複雑だったりすると、大人でも踊るのは大変です。
子どもと踊る曲を選ぶときは、「子どもが知っている・好き」という気持ちの面と、「リズムがとりやすい・覚えやすい」という踊りやすさの面の両方を見ることが大切です。この2つがそろった曲だと、「踊れた!」という経験につながりやすくなります。
踊りやすい曲の5つの見方
子どもが踊りやすい曲かどうかは、次の5つの点から考えると判断しやすくなります。
1. テンポ(速さ)がちょうどよいか
速すぎる曲は動きが追いつかず、遅すぎる曲は間がもたずに動きが止まりがちです。子どもが手拍子をしたり、その場で弾んだりしたときに、自然に合わせられる速さかどうかを見てみてください。
2. 拍(ビート)がはっきり聞こえるか
太鼓やドラムの音が「ドン、ドン」とはっきり聞こえる曲は、どこで足を踏めばよいか分かりやすく、リズムがとりやすくなります。反対に、ゆったりした伴奏だけの曲や、拍の取り方が途中で変わる曲は、初めての子には難しく感じられます。
3. 長さが子どもの集中力に合っているか
1曲まるごと踊るのが難しいときは、短い曲を選ぶか、曲の一部分だけを使います。小さな子ほど、1分前後の短いかたまりから始めると最後まで楽しく踊りきれます。
4. 同じメロディーや同じ動きが繰り返されるか
サビが何度も出てくる曲、同じフレーズが続く曲は、同じ振り付けを繰り返せるので覚えやすくなります。1回目は見ているだけだった子が、2回目、3回目で一緒に動けるようになるのも、繰り返しがあるからです。
5. 歌詞やイメージが子どもに合っているか
動物、食べ物、乗り物など、子どもが思い浮かべやすい言葉が出てくる曲は、言葉に合わせて体で表しやすくなります。一方で、大人向けの歌詞が含まれる曲もあるので、内容は大人が一度確かめておくと安心です。
テンポの目安|「BPM」という考え方
曲の速さは「BPM」という数字で表されることがあります。BPMは1分間に刻まれる拍の数のことで、数字が大きいほど速い曲になります。音楽配信サービスや楽譜、曲の解説などで見かけることがあります。
小学校の体育の学習指導要領の解説では、3・4年生の「リズムダンス」で扱うリズムの例として、スキップで弾めるくらいの軽快なロックはBPM140前後、ビートの強いロックは歩く速さのBPM120前後という目安が示されています。家で曲を選ぶときも、「歩く速さくらい」「スキップできる速さくらい」を目安にすると、子どもが無理なく合わせられる曲を見つけやすくなります。
BPMの数字が分からないときは、曲に合わせてその場で足踏みをしてみてください。足踏みがせかせかして追いつかないなら速い曲、足踏みの間に待つ時間が長いならゆっくりした曲です。
年齢別の選び方|3才〜6才(幼稚園・保育園)
この年齢では、振り付けを正確に覚えることよりも、音楽に合わせて体を動かすこと自体を楽しむのが中心になります。曲を選ぶときは、次のような点を意識してみてください。
- テレビの子ども番組や園で歌っている曲など、すでに耳になじんでいる曲
- 「ジャンプ」「くるっと回る」「手をたたく」など、言葉と動きが結びつきやすい曲
- 動物や乗り物など、まねして表しやすいものが出てくる曲
- 1〜2分ほどの短い曲、または曲の一部分
小学校の体育でも、1・2年生の「表現リズム遊び」では、動物や乗り物などの特徴をとらえて全身で表す「表現遊び」と、軽快なリズムの音楽に乗って弾んで踊る「リズム遊び」を組み合わせることが示されています。幼児期から小学校低学年にかけては、「何かになりきる」動きと「リズムに乗って弾む」動きの両方を楽しめる曲が向いていると言えます。
年齢別の選び方|小学校低学年
小学校に入ると、先生や友だちの動きを見て真似する力がついてきて、短い振り付けを覚えて踊れるようになっていきます。学校の授業や運動会で踊った曲を、家でも踊りたがる子もいます。
- 運動会や学校で踊った曲、友だちの間で話題になっている曲
- サビの振り付けがはっきりしていて、そこだけでも楽しめる曲
- スキップで弾めるくらいの軽快な曲
この時期は「全部踊れる」を目標にせず、「サビだけ踊れた」「最後のポーズが決まった」という小さな達成を大切にすると、ダンスを好きな気持ちが育ちやすくなります。
年齢別の選び方|小学校高学年
高学年になると、テンポの速い曲や、細かい手の動きが入る振り付けにも挑戦できるようになってきます。自分で好きな曲を選んで、動画を見ながら練習する子も増えます。
- 本人が「踊りたい」と思っている曲(やる気がいちばんの原動力になります)
- テンポの速い曲は、まずゆっくり再生して動きを確かめられるもの
- 友だちと一緒に踊れる、フォーメーション(立ち位置の移動)がある曲
この年齢では、曲の歌詞や、曲が使われている作品の内容を本人がよく知っていることも多くなります。大人が知らない曲のときは、一緒に聴いてみたり、どんな作品の曲なのかを聞いてみたりすると、子どもの興味を知るきっかけにもなります。
ダンス初心者の子が踊りやすい曲の条件
年齢に関係なく、ダンスを始めたばかりの子が踊りやすいのは、次のような曲です。
- 拍がはっきりしている:どこで足を踏むか、どこで手をたたくかが分かりやすい
- 速すぎない:歩く速さ〜スキップできる速さくらい
- 同じ部分が何度も出てくる:サビの繰り返しで振り付けを覚えやすい
- 本人が知っている:メロディーを覚えていると、次に来る動きを予想しやすい
反対に、途中でテンポが変わる曲、静かな部分と激しい部分の差が大きい曲、ラップのように言葉が速く続く曲は、慣れてから挑戦するとよいでしょう。
親子で踊りたい、よく知られた曲の例
子どもと踊る曲には、アニメや子ども番組、テレビ番組から広く知られるようになった曲がたくさんあります。ここでは、成り立ちや振り付けについて公開されている情報を確かめられた曲を、発表された年の順に紹介します。発表された年が古い曲は、保護者の方が子どものころに耳にしていた曲かもしれません。親子で「この曲知ってる?」と話しながら踊るのも楽しみ方のひとつです。
おどるポンポコリン(B.B.クィーンズ、1990年)
アニメ『ちびまる子ちゃん』の初代エンディングテーマとして発表され、のちにオープニングテーマとしても使われた曲です。作詞はさくらももこ、作曲は織田哲郎です。明るく弾むリズムで、親子で手拍子をしながら踊りやすい曲です。
勇気100%(光GENJI、1993年)
NHKのアニメ『忍たま乱太郎』のオープニングテーマとして発表された曲です。その後も歌い手を変えながら、長く主題歌として使われ続けています。
マツケンサンバII(松平健、2004年に一般発売)
2004年に一般発売され、同年末の紅白歌合戦に初出場して大きなブームになった曲です。振り付けは真島茂樹が担当しました。サンバのにぎやかなリズムは、小学校の体育で扱うリズムダンスの例にも挙げられているリズムです。
ようかい体操第一(Dream5、2014年)
アニメ『妖怪ウォッチ』の初代エンディングテーマで、振り付けはラッキィ池田が担当しました。CDとDVDのセットには振り付けの映像も収められ、子どもたちの間で大きな人気になりました。作曲者は、体操の曲として、部分と部分をなめらかにつながず、連ねていく形にしたと話しています。
パプリカ(Foorin、2018年)
NHKの「2020応援ソング」として、米津玄師が作詞・作曲・プロデュースした曲です。歌ったのは、オーディションで選ばれた5人の小学生によるユニット「Foorin」です。振り付けは辻本知彦と菅原小春が担当しました。
ダンスホール(Mrs. GREEN APPLE、2022年)
フジテレビの朝の番組『めざまし8』の2022年のテーマソングとしてつくられた曲です。番組内でアナウンサーが踊るコーナーがあり、ミュージックビデオではメンバー自身が踊っています。
ここに挙げた以外にも、子どもに人気の曲は毎年のように生まれています。新しい曲を選ぶときも、上で紹介した「5つの見方」で確かめてみてください。
曲の「どこを」踊るかを決める
1曲すべてを踊る必要はありません。特に小さな子や初めての子は、曲の一部を使うほうが楽しく踊れます。
- サビだけ踊る:いちばん盛り上がるところだけを繰り返します。覚える量が少なく、達成感を得やすい方法です。
- 1番だけ踊る:曲によっては1番と2番で同じ振り付けを繰り返すこともあり、その場合は1番が踊れれば曲の大部分が踊れることになります。
- 前奏や間奏は自由に動く:決まった振り付けがない部分は、好きに体を揺らしたり、ポーズを考えたりする時間にすると、子どもの「自分で考える」楽しさにつながります。
歌詞と動画の中身は、大人が一度確かめておく
子どもが「この曲で踊りたい」と言ってきたときは、大人も一度、曲を最後まで聴いてみることをおすすめします。人気の曲の中には、恋愛の歌詞や大人向けの表現が含まれるものもあります。また、動画サイトで振り付けを探すと、元の曲とは違う歌詞や映像に差し替えられた動画が出てくることもあります。
「この曲はだめ」と決めるためではなく、子どもがどんな曲に触れているのかを知っておくためです。気になる表現があったときは、子どもと話をするきっかけにもなります。
曲を「聴く」ことから始めると、踊りやすくなる
新しい曲で踊るときは、いきなり振り付けを覚えようとするより、先に曲を何度か聴いておくほうが覚えやすくなります。メロディーを知っていると、「次はサビが来る」「ここで音が止まる」と予想しながら動けるからです。
運動会のダンスについて現役の小学校の先生に取材した記事でも、ダンスを教える前に全員で曲を歌って親しみ、歌いながら踊れるように練習していることが紹介されています。家でも、まず曲を流して手拍子をしたり、一緒に口ずさんだりするところから始めてみてください。
- 曲に合わせて手拍子をする(拍をつかむ練習になります)
- 音が大きくなるところ、止まるところで、手を上げる・止まるなどの合図を決める
- 「1、2、3、4」と声に出して数えながら聴く
家で曲を流して踊るときの工夫
- 音量:集合住宅では、ジャンプの音や音楽の音が響くことがあります。音量は控えめにし、ジャンプの多い動きは時間帯に気をつけるとよいでしょう。
- 場所:家具の角やテーブルから離れた、広めの場所で踊ります。床がすべりやすいときは、靴下を脱いで裸足になるほうが安全なこともあります。
- 画面との距離:動画を見ながら踊るときは、画面に近づきすぎないよう、少し離れた位置に立つ目印をつくっておくと安心です。
- 時間:同じ曲を何度も繰り返すと、子どもも疲れてきます。「あと3回」など終わりを決めておくと、気持ちよく切り上げられます。
運動会や発表会で曲を使うときに知っておきたいこと
学校の運動会や地域のお祭りなどで、市販の曲を流して踊ることがあります。著作権法第38条第1項では、営利を目的とせず、観客から料金をとらず、演じる人に報酬が支払われない場合には、公表された作品を公に上演・演奏できることが定められています。
一方で、踊った様子を撮影した動画をインターネットに公開することは、著作権法では「公衆送信」という別の利用にあたり、第23条で作者の権利とされています。子どもが踊る動画を投稿したいときは、利用するサービスの決まりや、曲の権利者の案内を確かめておくと安心です。また、子どもの顔や通っている学校が分かる映像を公開してよいかどうかも、あわせて考えておきたいところです。
ダンス教室では、どんなふうに音楽を使っているのか
ダンス教室では、準備運動の段階から音楽を流すことがよくあります。音楽に合わせて体を動かすうちに、自然と拍を感じる練習にもなるからです。
セントダンススクールのレッスンでも、体操・ストレッチの段階から流行の音楽を流して、楽しみながら体を動かしています。リズムに合わせたジャンプや競争など、遊びを取り入れながら全身を動かしたあと、ダンスの基礎となるアイソレーション、振り付けへと進みます。家で好きな曲に合わせて踊る楽しさと、教室で先生や友だちと踊る楽しさは、少し違います。その違いも、体験レッスンで感じてみてください。
よくある質問
Q. 何歳くらいから、曲に合わせて踊れるようになりますか?
A. 個人差がありますが、小さな子でも好きな曲が流れると体を揺らしたり、跳ねたりします。決まった振り付けを覚えるのは少しずつですが、音楽に合わせて体を動かす楽しさは、年齢が小さくても十分に味わえます。
Q. 子どもが速い曲ばかり踊りたがります。
A. 本人が踊りたい曲は、やる気につながるのでよいことです。動画の再生速度を落とせる場合は、ゆっくりから始めて、慣れたら元の速さに戻すと練習しやすくなります。全部をそろえようとせず、サビだけでも踊れたら十分です。
Q. 童謡や子ども番組の曲ではなく、J-POPでも大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。拍がはっきりしていて、速すぎない曲であれば、ジャンルは問いません。ただし歌詞の内容は、大人が一度確かめておくと安心です。
Q. 流行りの曲を知らないと、ダンス教室についていけませんか?
A. 曲を知らなくても問題ありません。レッスンでは先生の動きを見て真似しながら覚えていくので、曲はレッスンの中で自然と耳になじんでいきます。
Q. リズムがずれてしまう子でも、楽しめる曲はありますか?
A. 拍がはっきりしていて、テンポがゆっくりめの曲から始めるのがおすすめです。手拍子や足踏みだけでも、曲に合わせられると楽しくなります。最初から音にぴったり合わせられる子は多くないので、心配しすぎなくて大丈夫です。
Q. 家で練習するとき、鏡はあったほうがいいですか?
A. なくても踊れます。鏡があると自分の動きが分かりやすくなりますが、小さな子は鏡に映る自分に気を取られることもあります。大人が向かい合って一緒に踊るだけでも、十分楽しめます。
参考にした資料
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 体育編」(表現リズム遊び・リズムダンスの内容、BPMの目安)
- Wikipedia日本語版「おどるポンポコリン」「勇気100%」「マツケンサンバII」「ようかい体操第一」「ダンスホール (Mrs. GREEN APPLEの曲)」
- マイナビニュース(2018年8月15日)NHK「2020応援ソング」パプリカ・Foorinの発表記事(作詞作曲、メンバー、振り付け)
- All About ニュース「運動会のダンス曲や振り付け、どうやって決めている?【現役教員に聞いた】」(2025年9月29日)
- 著作権法 第23条、第38条
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