子どものリズム感を鍛えるには?「リズム感がない」と感じたときの家での遊び方
「うちの子、リズム感がないのかも」。手拍子が曲とずれていたり、ダンスの動画を見ながら踊ると一人だけ遅れていたりすると、そんなふうに心配になることがあります。この記事では、リズム感とはそもそも何か、リズムを作っている「拍」「拍子」「テンポ」の基本、「リズム感がない」と感じる場面の中身、学校の体育でのリズムの学習、家でできるリズム遊び、ダンスのレッスンでのリズムの練習のしかたを、保護者の方向けにまとめました。
リズム感とは?「拍を感じて、体で合わせる力」
リズム感という言葉には、はっきりした定義があるわけではありませんが、一般には「音楽の拍やリズムを感じ取り、それに合わせて手拍子をしたり、歌ったり、体を動かしたりできる力」という意味で使われます。
ここで大切なのは、リズム感には「感じ取る」と「合わせて動く」の2つの面があることです。音楽を聴いて拍が分かっていても、体がそれに追いつかないこともあります。逆に、体を動かすのは得意でも、どこが拍の頭なのかをつかめていないこともあります。「リズム感がない」と感じたときは、どちらでつまずいているのかを見てみると、手助けのしかたが見えてきます。
リズムを作っているもの|拍・拍子・テンポ
拍(ビート)
拍は、音楽の中で一定の間隔で刻まれている「時間の目盛り」のようなものです。曲に合わせて自然に手をたたいたり、足でとんとんと床を踏んだりするとき、その一つひとつが拍に当たります。
拍子
拍子は、拍がいくつかでひとまとまりになったものです。「1・2・3・4、1・2・3・4」と4つで1まとまりになるのが4拍子、「1・2・3」が3拍子です。この記事では、4拍子を例にして説明します。
テンポとBPM
テンポは、拍がどのくらいの速さで進むかを表すものです。速さはBPM(beats per minute、1分間の拍の数)で表されます。1拍が0.5秒なら、1分間に120拍なので120BPMです。メトロノームの「M.M.=60」は、1分間に60拍、つまり60BPMという意味です。同じ振り付けでも、テンポが速くなると急に難しく感じるのは、1つの動きにかけられる時間が短くなるからです。
ダンスの「カウント」
ダンスのレッスンでは、4拍子の曲を「1・2・3・4・5・6・7・8」と8つずつ数えて、振り付けを覚えることがよくあります。「5・6・7・8」は動き出す前の合図としても使われます。先生が「ワン・ツー・スリー・フォー」と数えているのを聞くと、拍を声に出して確かめているのが分かります。
「リズム感がない」と感じる場面と、その中身
保護者の方が「リズム感がない」と感じる場面は、いくつかの違うつまずきが重なっていることが多いものです。
手拍子が曲とずれる
拍そのものをつかめていない場合と、拍は分かっていても手を動かすタイミングが少し遅れる場合があります。曲を止めて「せーの」で一緒にたたくとそろうなら、拍は感じられていることが多いです。
速い曲になるとついていけない
テンポが上がると、動きを思い出す時間が足りなくなります。リズム感の問題というより、動きをまだ覚えきれていないことが原因の場合もあります。
動きがだんだん遅れていく
最初は合っていても、少しずつ遅れていくことがあります。1つひとつの動きが大きすぎたり、止まる場所があいまいだったりすると、次の動きに入るのが遅れていきます。
音楽よりも人の動きを見て合わせている
まだ音をよく聴けていないうちは、前の人の動きを見てから動くので、どうしても半拍ほど遅れます。これは、始めたばかりのころには自然なことです。
赤ちゃんも、音楽のリズムに反応している
リズムに合わせて体を動かすことは、とても小さいころから見られます。イギリスのヨーク大学が2010年に発表した研究では、生後5か月から2歳までの赤ちゃんが、話し声よりも音楽に対して体をリズミカルに動かすことが多く、メロディーよりも拍(ビート)に反応していると考えられること、さらに音楽に動きを合わせられている赤ちゃんほどよく笑っていたことが報告されています。
この研究は「赤ちゃんのころから、音楽のリズムに合わせて体を動かそうとする傾向がある」ことを示したもので、リズム感の良し悪しを決めたり、練習の効果を調べたりしたものではありません。それでも、音楽に合わせて体を動かすこと自体が、子どもにとって自然で楽しい活動だということは、子どもと音楽で遊ぶときの励みになります。
リズム感は、練習で身についていくもの
「リズム感は生まれつき」と思われがちですが、学校の授業や音楽教育では、リズムを体で感じる練習が昔から取り入れられてきました。
リトミック
リトミックは、スイスの音楽教育家・作曲家のエミール・ジャック=ダルクローズが、19世紀末から20世紀初めにかけて考え出した音楽教育法です。楽器の早期訓練から入るのではなく、「音を聞き、それを感じ、理解し、その上で楽器に触ってみる」という順序を大切にし、音楽を体全体で味わうことを重視しています。日本には大正時代に、小林宗作や天野蝶によって紹介されたとされています。
練習で変わるのは「慣れ」の部分
手拍子やステップを、決まったテンポで何度も繰り返すうちに、拍のタイミングで自然に体が動くようになっていきます。最初は意識しないと合わせられなかったことが、だんだん意識しなくてもできるようになる。リズム感が「ついた」と感じるのは、この慣れが積み重なったときです。
学校の体育にも、リズムの学習がある
リズムに合わせて体を動かす学習は、小学校・中学校の体育にも入っています。
- 小学校1・2年生:「表現リズム遊び」の中の「リズム遊び」。平成20年告示の小学校学習指導要領では「軽快なリズムに乗って踊ること」とされています。
- 小学校3・4年生:「表現運動」の中の「リズムダンス」。同じ学習指導要領では「軽快なリズムに乗って全身で踊ること」とされています。
- 中学校:「現代的なリズムのダンス」。文部科学省のリーフレットでは、ロックやヒップホップなどのリズムの特徴をとらえ、体幹部(重心部)を中心に全身で自由に弾んで踊ることがねらいとされています。
中学校向けのリーフレットには、授業のはじめに「積極的にリズムを取ろうとしない生徒」がいることを前提にして、先生が生徒の中に入ってリズムを取って見せる、体が弾んでくるようなウォーミングアップを工夫する、手拍子・スキップ・揺れる・回るなど「誰にでもすぐにできる動き」でリズムに乗る、といった手だてが紹介されています。家でリズム遊びをするときにも、そのまま使える考え方です。
家でできるリズム遊び
ここで紹介する遊びは、特別な道具がなくてもできるものです。上手にできるかどうかより、親子で楽しむことを優先してください。
3才〜6才ごろ
- 手拍子まねっこ:大人が「たん・たん・たん・たん」と手をたたき、子どもがまねをします。慣れたら「たん・たん・たたたん」のように少し変えてみます。
- 音楽ストップ遊び:曲をかけて自由に踊り、音楽が止まったらぴたっと止まります。音をよく聴く練習になります。
- 足ぶみ行進:好きな曲に合わせて、部屋の中を足ぶみしながら歩きます。「1・2・1・2」と声に出しながら歩くと、拍を感じやすくなります。
- ゆっくり・はやく:同じ動きを、ゆっくりの曲と速い曲で比べます。テンポが変わると動き方が変わることを、体で感じられます。
小学生
- 8カウント手拍子:「1・2・3・4・5・6・7・8」と数えながら手をたたき、8のところだけ大きくたたきます。まとまりを感じる練習になります。
- 表と裏:「1・2・3・4」の数字のところで手をたたき、慣れたら数字と数字の間(「1と2と」の「と」)でたたいてみます。ダンスでよく出てくる「裏拍」に慣れる練習です。
- メトロノームアプリ:スマートフォンのメトロノームで、ゆっくりのテンポから足ぶみや手拍子をします。合うようになったら、少しずつ速くします。
- 動画を撮って見る:踊っているところを撮って一緒に見ると、どこで遅れているかが子ども自身にも分かります。
ダンスでよく出てくる「裏拍」と「アフタービート」
ダンスの曲、特にヒップホップなどでは、拍の「表」だけでなく「裏」で体を動かすことがよくあります。文部科学省の中学校向けリーフレットでは、リズムに変化をつけて踊る学習の例として、「シンコペーション(拍子の強弱を逆転させたり変化させる)」や「アフタービート(後拍を強調する)」が紹介されています。
たとえば「1・2・3・4」の4拍子で、後ろ側の拍である2拍目と4拍目を強調するのがアフタービートです。手拍子を2拍目と4拍目に入れてみると、曲のノリが急に変わって聞こえることがあります。始めたばかりの子は表の拍で動くことから始め、慣れてきたら裏の拍やアフタービートにも挑戦していきます。
曲選びのコツ
- 拍がはっきりした曲から:ドラムの音が分かりやすい曲や、手拍子が入っている曲は、拍をつかみやすくなります。
- ゆっくりめの曲から:最初から速い曲だと、動きを考える時間が足りません。ゆっくりの曲で合わせられるようになってから、速い曲にします。
- 子どもが好きな曲を使う:知っている曲、好きな曲だと、自然に体が動きやすくなります。
- 同じ曲を何回も使う:毎回違う曲よりも、同じ曲を繰り返したほうが、どこで何が起きるかが分かって合わせやすくなります。
気をつけたいこと
- ずれを指摘しすぎない:「ずれてる」と何度も言われると、子どもは音楽に合わせること自体を嫌がるようになることがあります。ずれたところより、合ったときに「今ぴったりだったね」と伝えるようにしましょう。
- きょうだいや友だちと比べない:リズムに慣れるまでの時間は子どもによって違います。
- 音量に気をつける:イヤホンや大きすぎる音で長く聴かせないようにしましょう。
- 疲れたらやめる:短い時間で区切って、「もっとやりたい」で終わるくらいがちょうどよいです。
ダンスのレッスンでは、リズムをどう練習するのか
子ども向けのダンスのレッスンでは、いきなり振り付けを踊るのではなく、その前にリズムに体を慣らす時間を取る教室もあります。たとえば、音楽に合わせてその場で弾む、手拍子をする、ステップを踏む、先生のカウントに合わせて動き始める・止まる、といった練習です。
セントダンススクールのレッスンは、体操・ストレッチ、アイソレーション、振り付けの流れで進みます。体操・ストレッチの段階から流行の音楽を流し、リズムに合わせたジャンプや競争など、遊びを取り入れながら全身を動かします。振り付けは、先生の動きを真似して、簡単な動きをゆっくり行うところから覚えていきます。スクールの想いのページでも、目指すことの一つとして「他のスポーツでも活かせる柔軟性とリズム感を身につける」ことを挙げています。
体験レッスンで見ておきたいこと
- 振り付けの前に、リズムに慣れる時間があるか
- 先生がカウントを声に出して、分かりやすく数えているか
- 最初はゆっくりのテンポで練習しているか
- ずれてしまった子に、先生がどんな声をかけているか
- 子どもが音楽を楽しんでいる表情をしているか
よくある質問
Q. 親がリズム感に自信がありません。子どもに遺伝しますか?
A. この記事を書くにあたって、リズム感の遺伝について確かめられた資料はありませんでした。ただ、手拍子やステップを繰り返すことでリズムに慣れていく、という練習の考え方は、学校の授業や音楽教育でも取り入れられています。親が上手でなくても、一緒に楽しむことはできます。
Q. リズム感がないと、ダンスは習えませんか?
A. 習えます。リズムに合わせる力は、レッスンを続ける中で慣れていくものです。セントダンススクールのレッスンも、音楽に合わせた体操・ストレッチから始まります。最初からぴったり合わせられなくても大丈夫です。
Q. ピアノやドラムを習ったほうが、リズム感はつきますか?
A. 楽器でも、ダンスでも、リズムに合わせる練習はできます。楽器は「音を出して合わせる」、ダンスは「体全体の動きで合わせる」という違いがあります。どちらが合うかは、お子様の興味で選ぶのがいちばんです。
Q. 家でダンス動画に合わせて踊らせてもいいですか?
A. もちろん大丈夫です。動画は左右が反対に見えることがあるので、左右を間違えても気にしすぎないようにしましょう。速い曲が難しそうなら、再生速度を落とせる機能を使う方法もあります。
Q. 何歳くらいからリズム遊びをしていいですか?
A. 小さいころから楽しめます。赤ちゃんでも音楽に合わせて体を動かすことが研究で報告されています。年齢に合わせて、簡単な手拍子や足ぶみから始めてみてください。
Q. 歌のリズムは合うのに、踊るとずれます。
A. 拍は感じられていても、体を動かすタイミングがまだ追いついていない状態かもしれません。足ぶみだけ、手拍子だけなど、動きを簡単にしてから合わせると、ずれが少なくなることがあります。
参考にした資料
- Wikipedia日本語版「テンポ」(BPM、メトロノーム記号)
- Wikipedia日本語版「リトミック」
- University of York「New research shows babies are born to dance」(2010年)/Zentner, M. & Eerola, T.「Rhythmic engagement with music in infancy」PNAS 107(13), 2010
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成20年3月告示)」体育
- 文部科学省「中学校向け『ダンス』リーフレット」(現代的なリズムのダンス)
セントダンススクールのご案内
西宮市津門のセントダンススクールには、3才〜6才のリトルクラスと、小学生のキッズクラスがあります。レッスンでは、ジャンルを問わず、体操・ストレッチ、ダンスの基礎となるアイソレーション、振り付けの流れで、音楽に合わせて体を動かす楽しさを大切にしています。ダンスが初めてのお子様、人見知りのお子様、運動が苦手なお子様も通っています。
- レッスン:月曜日・水曜日の夕方(リトル 15:50〜16:40/キッズ 16:50〜17:40)
- 体験レッスン:無料で3回まで受けられます
- アクセス:阪急「阪神国道」駅から西へ徒歩2分、JR「西宮」駅から東へ徒歩6分、阪神「今津」駅から北へ徒歩10分(兵庫県西宮市津門稲荷町5-10 フレクサンス北今津 3階)
体験レッスンのお申し込みはLINEから受け付けています。


